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2020年2月26日起訴猶予合意制度
FRONTEOのアニサ・ヘンダーソン(米国フロリダ州弁護士/米国ワシントンD.C.弁護士)が、起訴猶予合意制度(Deferred Prosecution Agreement, DPA)について要旨をまとめています。
概要
「Deferred Prosecution Agreement (DPA)」は、検察官と被疑者との間で締結される合意であり、被疑者が特定の条件を遵守すれば、検察官は犯罪訴追を見送るという制度です。「起訴猶予合意」「訴追延期合意」などと訳されるこの合意は、連邦制度において遂行されるもので、刑事訴追は米国司法省(DOJ: Department of Justice)、証券法関連は米国証券取引委員会(SEC: Securities and Exchange Commission)が担当しています。
DPAでよく見られる条件には、「調査対象となった違法行為の再犯防止を目的とした、強力なコンプライアンスプログラムの実施」というものがあります。
弁護士の見解
ここ数年、DPAの適用件数は減少傾向にありますが、DOJが好んで使う手段であることに変わりはありません。DPAが適用されるのは、多くの場合がFCPA(米国海外腐敗行為防止法、Foreign Corrupt Practices Act)に関する事案ですが、最近では独占禁止法の事案も出てきています。DOJの調査に協力的な企業は、起訴を免れ、起訴猶予合意が適用されることがありますが、DPAの適用条件を満たすのは容易なことではありません。単にコンプライアンス規範を履行すればよいのではなく、「優れた」規範を履行していることをDOJに対して示さなければならないのです。昨年のエリクソン社のケースのように、独立したコンプライアンス監視員を企業に配置することをDOJが要請する場合もあり、企業にとっては大きな負担となり得ます。どのようなコンプライアンス規範を履行するかについては、DOJの調査・コンプライアンスへの対応経験を有し、企業の業務内容についても積極的に理解しようと努めてくれる弁護士に相談することをお勧めします。
企業が注意すべきポイント
DPA(起訴猶予合意)やNPA(訴追免除合意、Non-Prosecution Agreements)は、DOJの調査に協力し、強固なコンプライアンス規範を履行している企業が受けられるメリットのごく一部にすぎません。
DPA/NPA適用件数に関する統計情報はこちら: https://www.gibsondunn.com/wp-content/uploads/2019/01/Warin-Day-Farrar-Trends-In-DOJ-Nonprosecution-Deferred-Prosecution-Deals-Law360-01-29-2019.pdf
アニサ・ヘンダーソン(米国フロリダ州弁護士/米国ワシントンD.C.弁護士)