E-Discovery記事ALL訴訟・調査

米国訴訟独特の訴訟手続き「ディスカバリ」

グローバルな市場でビジネスを展開しようとする限り、国際訴訟に巻き込まれる可能性は常につきまといます。ここでディスカバリの「基本」を知っているかそうでないかが、いざ国際訴訟に巻き込まれた時の企業の命運を分けることになりそうです。 ではこの「ディスカバリ」とは一体何なのでしょうか。そして企業の法務担当者は普段からどのようなことに気を付けていればよいのでしょうか。

■ディスカバリ=証拠開示手続き

アメリカでは、訴訟が起きた際、裁判所による事実審理(トライアル)が行われるまでに当事者同士で話し合いの場を持つことが要求されますが、ここで行われる大きな手続きが「ディスカバリ」つまり「証拠開示手続き」です。

米国民事訴訟の大きな特徴であるディスカバリは、米国の訴訟において極めて一般的な手続きの一つで、当事者が相手方および第三者から証拠を入手するための手続きです。トライアルの前にディスカバリを行って証拠を見せあうことで、原告・被告両社が「事実」を正しく認識し、当事者同士でできるだけ解決することがこの制度の目的です。実際に、米国での訴訟において、トライアルまで進むことはまれで、その前段階(プリトライアル)の段階で「和解」するか、陪審員の評決を必要とせずに裁判所の判断によって訴訟を終了させる「サマリージャッジメント」によって終結する事案が全体の98%を占めます。

つまり、ほとんどの訴訟案件が「和解」で終わるため、できるだけ自社にとって有利な条件で和解に持ち込むことを目指すべき、ということになります。

 

■ディスカバリによるメリット

ディスカバリを行うことで、原告・被告が受けるメリットは以下の4つです。

  1. 情報・争点が整理され、和解につながりやすくなる
  2. 個人が原告の場合、大企業と対等に戦える
  3. 客観的事実による合理的な評決につながる
  4. アメリカの文化である「当事者主義」での解決が促される

米国の訴訟では、ディスカバリという手続きが、そのまま訴訟の行方を左右するため、ディスカバリ作業について証拠書類の取り扱いや提出方法を間違うと、訴訟が不利になるばかりか、場合によっては罰則が適用されることもあります。そのため、訴訟担当者は、ディスカバリの重要性を認識し、万全の態勢で準備に臨む必要があります。

 

次へ > ディスカバリ入門:はじめに

Show More
Back to top button
ja 日本語
X