「言葉」を「センサー」に
2020年4月10日ディスカバリ入門(7/7):ベンダーのディスカバリ対応力を見極めるために必ず質問したいこと
2020年4月24日これまで見てきたように、「お客様の声」を解析する場合には、様々な難しさがあります。では、FRONTEOの人工知能「KIBIT」は、どのようにその難しさをクリアし、解析を行っているのでしょうか?改めて、その特徴を見てみましょう。
・ テキストデータに特化。処理が軽く、大規模な計算資源が不要
→ 一般的なパソコンでも利用が可能で、導入にかかるコストや時間が抑えられる
・ 少量の教師データで解析可能
→ お客様側で数百~数万件ものデータを分類する準備作業が不要
・ 人の判断基準を独自の機械学習のアルゴリズムで再現
→ 判断軸を一定にすることができ、ブレのない評価が可能
・「 単語」だけではなく「文章全体」を見て、特徴を抽出・学習
→ 言葉の多義性や揺らぎ、誤変換を吸収
このように、客観的な判断が難しい「言葉」という定性データでも、見つけたい行動や感情、反応などを発見する「センサー」として用いることができます。「お客様の声」からクレームを検知する場合にセンサーの役割を果たすのは、蓄積してきた過去のクレームデータです。解析のイメージは 図1 のとおりです。
「お客様の声」からクレームを見つける場合、KIBITに与える機械学習の教師データは、例えば、実際に過去にあった数十件の「見つけたい」「重要な」クレームデータです。1件のデータは、100字から200字の程度の短い文章でも構いません(「「言葉をセンサーに」膨大な“お客様の声”から価値を見つけ、業務を変える」図3参照)。合わせて、クレームではない「見つけなくてもよい」「重要ではない」の「お客様の声」のデータも同じく数十件か、もう少し多くKIBITに学習させます。そして解析の対象となる、問い合わせ記録やアンケート、音声記録などの「お客様の声」を用意すれば、準備完了です。
KIBITは与えられた教師データから単語と文章のつながりを学び、クレームの文章に似ているか、クレームではない一般の文章とは似ていないか、などを判別し、スコアリング(点数づけ)を行っていきます。
学習する時にクレームにあらわれるキーワードを見るのと同時に、キーワードの周りの言葉も見ていくため、新しいデータを判断する際、同じキーワードが無くても、周りの言葉の類似性から点数をつけることができます。KIBITに用いられている独自のアルゴリズムでは、「見つけたい」「重要」と判定した単語に重みを多く割り振り、「見つけなくてもよい」「重要ではない」に重みを低く割り振ります。そうやって、解析の対象となるデータの集団の中で、相関や類似性が高いものと、低いものとの点数の差がつき、仕分けをすることができます。
日々あがってくる報告書や、お客様の声を全件チェックしなくても、スコアの高い順に確認することで、作業の負担や工数が軽減されたり、ユーザーが必要とする情報をいち早く抽出するができます。これらの一連のプロセスを経ることが、KIBITが言葉の多義性や揺らぎに強く、あたかも文脈を読んでいるように解析ができる理由です。
図1. KIBITの事前学習と解析イメージ
「お客様の声」の解析にKIBIT を活用することで、(実際の業務で)どのくらいの効果が出せるのでしょうか?これまでの導入事例や実証実験、PoC(概念検証)でのケースを見てみましょう。(図2)
図2. KIBITを用いた様々なケース
これまで見てきたケース以外にも、現在「お客様の声」は、店頭やコールセンターに寄せられるものだけでなく、チャットボットを使ったコミュニケーション、SNSなどを通じたソーシャルメディアへのレビューの書き込み、スマホアプリやスマートスピーカーなどの音声認識を使ったやりとりなど、企業が役立てられるコミュニケーションデータがどんどん増加しています。これらのデータの中から、例えばクレームを正しく把握することで、自社製品やサービスの問題を早期に発見できる「センサー」として活用することができます。
今回は「お客様の声」の例を挙げてきましたが、同じように、人の感情や感想、気持ち、出来事をあらわした「自然言語」の文章は、例えば、営業日報や調査、人事面談、看護・介護などの様々な記録など、日常的な仕事に数多く表れています。これまで取り扱いが難しかった定性データを、人工知能KIBIT で解析することで、企業は様々な機会や課題の発見に活用することができます。皆さんも是非、「自然言語× AI」を使いこなすことで、リスクやチャンスを発見できる仕組みを考えてみてください。
お客様の声や反応には、以下のようなものがあります。
・ コールセンター/コンタクトセンターでのお客様からのインバウンドコール(受電)、お客様へのアウトバウンドコール(架電)
・ 店舗でのアンケート
・ お客様から店員、社員への声掛けやメール
・ ECサイト等でのレビュー
・ 企業サイトへの問い合わせや書き込み
・ SNSなどでの書き込み
「数値」で表せるものが定量データ、表せないものが定性データです。
定量データの場合、一定の数値より上か下かで状態を判断したり、変化を客観的に見ることができますが、定性データは人の主観によって判断や解釈が変わり、扱いが難しいとされます。
FRONTEOのAIエンジンKIBITは定性データの代表である言葉を一定の尺度で点数化(スコアリング)し、定量的に評価することができます。