不正会計とは?不正の事例や原因、防止対策と調査対応まで解説
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2023年8月25日社内の不正会計を未然に防ぐには、AI(人工知能)による検知が有効です。この記事では、不正会計の定義やリスク、未然に防ぐための予防策、AIによる検知の有効性、そして発生してしまった場合の効果的な対応策についても解説します。
不正会計とは
不正会計の定義と企業に与えるリスク、また予防策や検知の方法についても解説します。
不正会計の定義と概要
不正会計とは、企業が作成する財務情報を意図的に改ざんすること。架空の売上や経費を計上したり、適切な経営状態の把握に必要な情報を隠蔽したりして、財務状況を偽る行為を指します。
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不正会計が企業にもたらすリスクと被害
不正会計を行った場合、刑事責任や民事責任が生じることがあります。刑事責任としては、詐欺罪や違法配当罪に問われる可能性があります。民事責任としては、虚偽の財務状況に対して融資させられた銀行や、株価が暴落してしまった株主など、被害を与えた第三者から損害賠償を請求される可能性もあります。
ミスや勘違いで納める税金を少なく申告すると過少申告加算税が課されますが、不正会計のように悪意を持って税金をごまかし、脱税が認められた場合、さらに税率の高い重加算税が課せられます。
経済的損失だけでなく、違法行為が行われた会社として社会的な信用は失墜して競争力が低下。銀行などからの融資を受けられないなど、企業の存続そのものを脅かす事態にも発展しかねません。
不正会計を予防する方法
不正会計を予防するには、社内の監視体制の強化が重要です。一人の担当者に権限を集中させず、役割分担して取引や契約内容を相互にチェックする体制を整備します。
経営者や従業員に対するコンプライアンス研修や内部通報制度なども有効です。不正会計は犯罪行為であり、刑法に問われて罰を受ける可能性があることを一人ひとりに自覚させること、安心して相談・通報できる窓口があることが抑止力につながります。
不正会計を検知する方法
不正会計をいち早く検知するには、AIの活用が有効です。意図的に改ざんされた財務情報から、隠された不正を見抜くのは簡単ではありません。AIで省力化・効率化することで、早期に検知、発見できるようになります。
AIによる不正会計の検知
AIの機械学習によって不正会計を検知する仕組みとその有効性、得られるメリットについて解説します。
AIの機械学習とは
機械学習では、機械、つまりコンピューターが多くのデータを読み込み、データ内のパターンやルールを見つけ出します。そのコンピューターに新しいデータを与えると、見つけ出したパターンに当てはめてデータを分類したり予測したりできるようになります。機械学習では、人の手で作業したりプログラミングで対応したりするよりも大量のデータを自動的に処理できるため、様々な分野で活用されています。
AIを用いた不正会計の検知方法
AIに過去の不正データを機械学習させて、過去の不正事案と類似している場合に警告が出るように設定することで、その不適切な部分を不正の兆候として検知することができます。
AIによる不正会計検知の有効性
表計算ソフトなどの複雑で膨大な資料やデータから構成される企業の財務情報から怪しい点を探し出すのは、専門家であっても至難の業です。人間を超えた高い処理能力のAIを使うことで見過ごしの防止になり、早期発見につながります。
AIを不正会計検知に活用するメリット
AIの機械学習による判別は、人によるルール設定よりも対応範囲が広がり、最新手法が現れてもAIが新たに学習して対応できる可能性があります。発見できる不正が多いだけでなく、自ら学習し精度や対応力が増していきます。またAIが発見した不正を人がチェックし対応することで、監視に割いていたコストや時間を削減できます。
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不正会計の調査にはフォレンジック調査が必要
それでも不正会計が起こってしまった場合、専門の調査会社によるフォレンジック調査を行う必要があります。
フォレンジック調査とは何か?
案件に関わる情報を収集・分析して、犯罪や不正行為の証拠を明らかにする鑑識調査のことです。原因を究明することで再発防止策が立てられますし、責任の所在を明らかにすることで、訴訟に発展した場合に備えることができます。
デジタルフォレンジックの必要性
デジタルフォレンジックは、法科学の分野のひとつで、犯罪や不正行為の証拠を明らかにするために、デジタルデバイスに保存されているデータを収集・分析する調査のことです。不正会計が疑われる場合、隠蔽させている裏取引やお金の動きなどの証拠を見つけなければいけません。不正の証拠は書類だけでなく、メールやチャットなど電子データによるものが多いため、それらを分析するデジタルフォレンジック調査が有効です。
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不正会計におけるフォレンジック調査会社選びのポイント
調査会社を選ぶ際は、調査会社が使っているツールや技術力、そして過去の調査実績もポイント。調査会社の設備やエンジニアの熟練度などによって調査の成果は変わります。特にデータの復元には専門のツールや高度な技術力が必要です。AIの活用も重要なポイントです 。多数の調査実績を持つ会社ほど、高い技術力やデータ復旧に関するノウハウが蓄積しているので、ケースごとに適切な方法を選択して適正なコストで対応できるでしょう。特に上場企業や警察、官公庁などの依頼実績があるかどうかが、信頼性を判断する上で重要なポイントになります。
AIを活用した分析やフォレンジック調査への取り組み
膨大なデータ量を扱う現代のデジタルフォレンジックにおいて、AI(人工知能)の活用は必須です。調査会社がAIを活用できているかどうかは選定ポイントの一つになります。大量のデータ分析を得意とするAIを活用することで、調査の効率化だけでなく、専門家がリソースを集中できることで調査の精度も高められます。
不正会計の検知では、AIの力で会計データ中にひそむ不正な数値データを検知できるのはもちろん、不正会計の発生に関係する何らかのシグナルも含めて分析し、不正が醸成される過程も捉えられる調査会社が望ましいといえます。
依頼時の費用とその見極め方
フォレンジック調査には、高いレベルの専門性が求められます。フォレンジック調査をベンダーに依頼した場合、データ処理や検索の費用、そして証拠となり得るかの分析・解析(レビュー)やデータホスティングなどが費用の内訳となりますが、通常はレビューの工程が費用の大半を占めます。最終的な金額は調査範囲、調査内容によって大きく変わり、数万円~数百万円とかなり幅があります。
なお調査にAIを用いることの認知も最近では広がってきており、AIを活用して調査を飛躍的に効率化することで大幅なコストメリットが得られます。見積を集める際には必ずAIやレビューも含めたトータルの費用も求め、単価だけでなく全体の費用もしっかり比較しましょう。
企業の不正会計調査は、自社開発AIで高精度・効率的に調査できる「FRONTEO」へ
不正調査で豊富な調査実績を誇るFRONTEOは、スピーディーにインシデントに対応し、解決に導く提案力・調査力が強みです。
昨今のフォレンジック調査は、膨大なデジタルデータを取り扱うため、AI(人工知能)の活用が不可欠ですが、FRONTEOでは自社開発のAIエンジンを駆使して大量のデータを迅速に処理します。さまざまなケースに対応できるよう自社開発ソフトウェアも導入し、迅速でコストパフォーマンスの高いフォレンジック調査を実現します。
圧倒的な件数から得た知見を活かし、難易度が高い調査への対応力も万全で、有事の際は迅速に対応。被害を最小限に抑え、再発防止に努めます。
不正会計の検知は「不正への過程」まで捉えられる、FRONTEOのAIで
AIで検知する不正会計といえば、具体的には会計上の数値、すなわち財務指標の異常や不正リスクを検知するのが一般的です。しかし、会計の数値などが改ざんされる場合、そこには関係者どうしのやり取りなど不正への道のりがあるはずです。
FRONTEOのAI「KIBIT」を搭載した不正検知のシステムでは、関係者のチャットやメールのメッセージなどを分析し、不正が行われる過程まで捉えます。企業の財務諸表の数値に現れる不正をキャッチするのと同じくらい、不正の予兆、すなわち不正を連想させるようなコミュニケーションと、そこから見える不正への過程や不正の流れの醸成を見逃さないことも重要。FRONTEOは、数値以外の面での不正会計へ至る過程を発見できる高度なAIで、不正の検知にとどまらず、再発の防止まで見すえた効果的な調査を提供します。