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2023年8月16日粉飾決算が発覚した場合、当事者が刑事責任に問われる可能性があるだけでなく、企業側にも大きな損害を与えます。この記事では、粉飾決算の基礎知識や主な手口、未然に防ぐための対策や見抜く方法なども解説。実際に起きた場合の適切な調査方法も紹介します。
粉飾決算とは
粉飾決算とは、会社の利益を実際よりも過大に計上すること。業績が良いと偽ることで利害関係者の信用を得ることを目的とした、不正会計処理による収支の偽装行為です。
逆粉飾決算とは
逆粉飾決算とは、粉飾決算の逆で会社の利益を実際よりも過小に計上すること。納める税金の額を減らすことが目的で、こちらも違法行為です。
粉飾決算・逆粉飾決算が起こる理由とリスク
粉飾決算・逆粉飾決算をする企業は、なぜ違法行為に手を出してしまうのか。主な理由や背景、企業が受けるリスクについて解説します。
粉飾決算・逆粉飾決算が起こる主な理由
·銀行から融資を受けるため
特に中小企業に多いのが、銀行から融資を受けるためという理由です。資金調達の手段が銀行に依存している場合が多く、経営状態が悪いと借り入れ条件を厳しくされる、新規の借入を停止されるなどで経営が困難に陥ります。そのため、納税額が増えたとしても業績をよく見せようとするのです。
·上場維持または株価対策のため
上場企業に多いのが、上場維持または株価対策のためという理由です。株主から責任を追及されることを嫌がって、粉飾決算を行って経営状態が良いように見せかけます。
·税金を減額するため
逆粉飾決算を行う理由の多くは、税金を減額するためです。法人税の実効税率はおおよそ3割にのぼり、せっかく手に入れた利益を取られるのが惜しい、取られたら経営が回らないという理由で、逆粉飾決算という違法行為に手を出してしまいます。
粉飾決算が企業に与える主なリスク
·懲役·罰則対象になる
粉飾決算をした場合に該当する刑事責任としては、違法配当罪、有価証券報告書虚偽記載罪、特別背任罪や詐欺罪などがあげられます。懲役または罰金、その両方が科される場合があります。
·損害賠償請求の可能性
通常よりかけ離れた条件で融資させられた銀行や、株価が暴落してしまった株主など、粉飾決算によって第三者に被害を与えた場合、会社は損害賠償を請求される可能性があります。
·加算税の支払い
ミスや勘違いで納める税金を少なく申告すると過少申告加算税が課されますが、粉飾決算のように悪意を持って税金をごまかすと、重加算税が課せられます。過少申告加算税の税率は最大15%ですが、重加算税は35%と非常に高い税率が設定されています。
粉飾決算・逆粉飾決算の主な手口と防ぐための対策
粉飾決算・逆粉飾決算に使われる手口と、それを防ぐための対策について解説します。
粉飾決算・逆粉飾決算に使われる主な手口
·売上や在庫の過大または架空計上
実際は手元にない架空の在庫をあるように見せかけて、販売した商品の原価を低く報告することで、貸借対照表においての棚卸資産を増加させます。また架空の取引先との契約書を作って売上を計上する手口もあります。
·費用や経費の操作
個人的に使用した社宅や社用車を経費として計上したり、当期に計上すべき売上を意図的に翌期以降に期ズレさせて計上したりすることも逆粉飾決算の手口のひとつです。
·決算書を複数作成
金融機関から有利な融資を受けるため、数字の操作ではなく、決算書そのものを複数作成する手口もあります。取引銀行すべてに別々の決算書を作成していたという事例もあります。
粉飾決算を起こさないための対策
·社内のチェック体制を強化する
まずはコンプライアンス研修や社内教育により、粉飾決算は犯罪行為であるということを徹底して周知します。企業内部に通報窓口を設置するのも有効です。その上で、物理的に犯行が行えないように、特定の人や部署などに権限が集中しないようにする等、社内のチェック体制を強化することが重要です。
·会計士や税理士に相談できるようにしておく
会社内部のチェック体制だけでなく、上場企業などでは義務化されている会計監査を任意で導入してプロの公認会計士に見てもらうなど、外部の力も活用しましょう。税理士を利用することで、社外の監視体制も強化できます。いつでも相談できる税務のスペシャリストがいれば、粉飾決算の誘惑にかられる社員がいても、行動に移しづらくなるでしょう。
粉飾決算を見抜く方法
チェック体制を敷いていても、粉飾決算が起こってしまう場合があります。決算書で見るべきポイントや有効な調査など、粉飾決算を見抜く方法を解説します。
売掛金・買掛金・未払金を見る
売掛金において、月商の何か月分あるのが適正なのかを見積もり、通常よりも異常に多い場合は要注意です。逆に買掛金・未払金においては、通常よりも少なくなっている場合は要注意です。
在庫を見る
在庫の調整も粉飾決算ではよく見られます。在庫を増やすと原価率や粗利率にも影響します。急に粗利率がよくなっている場合は注意が必要です。
仮払金・貸付金を見る
実際に支払った経費を無理やり資産計上して経費を減らし、利益を多くみせていないか、これらの勘定科目の内容や金額に注意を払いましょう。
フォレンジック調査をする
不審な点を見つけたら、徹底的な調査が必要です。決算書だけでなく、お金や取引に関するデータを収集して分析する「フォレンジック調査」が有効です。
粉飾決算が起きた場合は「フォレンジック調査」を利用する
粉飾決算の疑いがある場合、専門の調査会社による調査会社によるフォレンジック調査が有効です。どのような調査か、また調査会社選びについても解説します。
フォレンジック調査とは?
法科学の分野のひとつで、デジタルデバイスに保存されている情報を収集・分析して、犯罪や不正行為の証拠を明らかにする調査のことです。
フォレンジック調査の依頼は実績のある専門の調査会社から選ぶ
フォレンジック調査は、自社で行うのではなく、調査会社に依頼することをおすすめします。調査会社の持つ専門のソフトウェアやノウハウを活用することで、確実で効率的かつ規模に適したコストで調査を実施することができます。
AI活用の調査会社なら精度が高く、迅速な調査が可能
膨大なデータ量を扱う現代のフォレンジック調査において、AI(人工知能)の活用はもはや必須といってもいいでしょう。少数のサンプルファイルに少人数の専門家が目を通してAIに判断基準を学習させることで、大量のデータを関係ありそうなものとそうでないものに仕分けさせます。調査の初めにしなければならない単純なデータの仕分け作業を少人数で短時間で行うことができるので、調査の効率化だけでなく、専門家のリソースを集中することで精度も高められます。
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FRONTEOは、2003年の創業当時から日本におけるフォレンジック調査のパイオニアとして、さまざまな企業の課題解決に取り組んできました。
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