退職者による情報漏洩への対策は?情報漏洩のリスクや調査事例を紹介
2023年8月14日【Webinar】サイバー攻撃に対する企業の法的責任と予防体制 -サプライチェーン全体を踏まえた対応策- Part 3
2023年8月15日従業員による違法なキックバックが発覚した場合、当事者が刑事責任に問われるだけでなく、企業側にも大きな損害を与えます。この記事では、従業員による違法なキックバックが企業へ与えるリスクや被害、未然に防ぐための対策、証拠の集め方を解説。また、実際に起きたキックバックとその調査の事例やフォレンジック調査会社の選び方も紹介します。
キックバックとは
キックバックという言葉の意味や、リベートや横領との違い、法的に禁じられるキックバックの例について解説します。
キックバックの意味や概要
キックバックとは、売り手側(メーカーなど)が買い手側(代理店など)に対して支払う「報奨金」「謝礼金」のこと。一定の売上高や取引を達成した場合に支払う販促目的の商習慣で、違法ではありません。ただし、取引を行う会社間での合意がなく、社員個人が内密にキックバックを受け取ったケースや、キックバック費用を発注額に上乗せすることで会社に損失を与えたケースは、違法性を追求されることがあります。
キックバックとリベート、横領との違い
リベートとキックバックは、ビジネスにおいてはどちらも日本語でいう「売上割戻」を指す言葉です。実質的な意味は同じです。
それに対し、横領は別の意味です。横領とは、不法に他人のものを自分のものとすることで、すべて違法行為にあたります。違法なリベート、キックバックが行われ、結果として横領の罪に問われるケースはあります。
違法なキックバックが会社にもたらすリスクと被害
従業員による違法なキックバックは、会社に様々な損害を与えます。経済的損失はもちろん、違法行為が行われた会社として、社会的な信用は失墜。訴訟に発展する場合もあります。最悪の場合、企業の存続そのものを脅かす事態にも発展しかねません。
違法キックバックの例
・個人の利益を不正に増やす目的で行われるキックバック
あるメーカーの担当者Aが、代理店の営業であるBと結託。本来なら1000万円で発注する数量を、水増しして1200万円の見積もりを作らせ、100万円ずつそれぞれの懐に入れたとします。これは私腹を肥やす目的のキックバックであり、違法です。
・取引先や業務上の関係者に対して不正に提供される現金やそれに準ずるもの
ある会社の購買担当Cが、販売店の担当者Dから商品を仕入れる前に、過剰な高額接待を受けました。Dはこの接待費を本来の商品代金に上乗せして請求したとします。本来なら会社が払うべきではない接待代が含まれた請求金額になるため、Cは会社に損害を与えたとして、詐欺罪や背任罪にあたる可能性があります。これが接待でなく、現金授受の場合でも同様です。
違法なキックバックを防ぐための対策
違法なキックバック行為を防ぐために、日頃から企業が取り組んでおくべきことは何か。有効な対策について紹介します。
コンプライアンス研修など従業員教育の重要性
コンプライアンス研修などの従業員教育を通して従業員へ周知しましょう。合法なキックバックは一般的にも活用されている商慣習なので、何が合法で何が違法なのかを理解させることが重要です。従業員本人が罰を受けるということを自覚させることが抑止力につながります。また、企業の経営的にも打撃となることを周知することで、社員からの内部通報を促すことにもなります。
専門の調査会社にいつでも相談できるようにしておく
不正が起きてしまった場合には、速やかな対応が必要です。対処フローを策定し、弁護士や専門の調査会社といつでも連携が取れるように備えましょう。
違法なキックバックの証拠をつかむ方法
違法なキックバックが発生した場合、速やかに客観的な証拠を確保しなければなりません。その方法について紹介します。
取引履歴や請求書などの書類を確認する
不正が疑われるキックバックの実態を掴むため、取引履歴や請求書などの書類を確認します。
メールやチャット、通話履歴などを確認する
不正の証拠は書類だけとは限りません。むしろ書類を残さず、メールで隠語を用いてやりとりをする場合もあるので、電子メールやチャット、通話履歴なども集める必要があります。
証拠の保全やバックアップの確認をしておく
メールやチャットの履歴は簡単に削除できるので、本人に勘付かれる前に証拠を保全しなくてはなりません。もしすでに削除されていた場合はバックアップから復活させるか、データを修復する必要があります。
違法なキックバックの証拠調査には「フォレンジック調査」が有効
違法なキックバックの詳細な調査には、専門の調査会社による「フォレンジック調査」が効果的です。その理由について解説します。
フォレンジック調査とは何か?
フォレンジック調査とは、事件に関わる情報を収集・分析して、不正行為の証拠を明らかにする調査のことです。メールやチャット、電子帳票などデジタルデータ上の証拠が疑われる場合は、デジタルデバイスに保存されている情報から不正行為の証拠や経緯を明らかにしていきます。
フォレンジック調査は専門の調査会社への相談がおすすめ
フォレンジック調査は、自社で行うのではなく、調査会社に依頼することをおすすめします。調査会社の持つ専門のソフトウェアやノウハウを活用することで、確実で効率的かつ規模に適したコストで、調査を実施することができます。
【関連記事】フォレンジック調査とは?必要なケースや注意点、事例について解説
違法なキックバックに対するフォレンジック調査の事例
違法なキックバックに対するフォレンジック調査について、FRONTEOが対応した実際の事例を紹介します。
従業員による外注費のキックバックに関する不正調査
A社の法務部宛に、同社が販促物の制作依頼をしているB社から「A社のマーケティング部門の部長であるX氏の素行が派手である」という指摘がなされました。社内調査をした上でB社にも問い合わせ、販促物の請求額と支払い額に照らし合わせてみると、金額に齟齬があることが発覚しました。
依頼を受けたFRONTEOでは、A社とB社の取引に関わるやり取りについて調べるため、X氏に察知されることなくA社内のサーバーからメールを抽出し、自社開発のドキュメントレビューツールとAI検出技術で、金銭のやり取りについての調査を実施しました。
その結果、キックバックを行っているB社のY氏の存在を確認。X氏とY氏の間では、キックバックのやり取りに隠語が使用されていました。メールの宛先・差出人を用いた人物相関調査を行い、共犯者と思われる人物2名についても確認するに至りました。
その後、A社及び顧問弁護士らによって事実関係について聴取が行われ、X氏を含む関係者は刑事告訴されました。
キックバックの証拠を押さえるためのフォレンジック調査会社の選び方
フォレンジック調査を依頼する調査会社を選ぶ際に、見るべきポイントについて解説します。
高度な専門知識と豊富な実績があるか
多数の調査実績を持つ会社ほど、高い技術力やデータ復旧に関するノウハウが蓄積しているので、ケースごとに適切な方法を選択して適正なコストで対応できるでしょう。特に上場企業や警察、官公庁などの依頼実績があるかどうかが、信頼性を判断する上で重要なポイントになります。
AI活用など高い技術力があるか
会社の持っている設備やエンジニアの熟練度などによって調査の成果は変わります。実績などにも照らして、しっかりチェックしてください。特にデータの復元には専門のツールや高度な技術力が必要です。AI(人工知能)の活用も重要なポイントです。大量のデータ分析を得意とするAIを活用することで、調査の効率化だけでなく、専門家がリソースを集中できることで精度も高められます。
適正な価格で提供されているか
フォレンジック調査は、データ処理や検索の費用、そして証拠となり得るかの分析・解析(レビュー)やデータホスティングなどが費用の内訳となりますが、通常はレビューの工程が費用の大半を占めます。最終的な金額は調査範囲、調査内容によって大きく変わり、数万円~数百万円とかなり幅があります。追加料金を含めた費用形態が明確なベンダーを選ぶことをおすすめします。
なお調査にAIを用いることの認知も最近では広がってきており、AIを活用して調査を飛躍的に効率化することで大幅なコストメリットが得られます。見積を集める際には必ずAIやレビューも含めたトータルの費用も求め、単価だけでなく全体の費用もしっかり比較しましょう。
違法なキックバックの証拠調査は、フォレンジック調査の実績と技術に定評のある「FRONTEO」へ
FRONTEOは、2003年の創業当時から日本におけるフォレンジック調査のパイオニアとして、さまざまな企業の課題解決に取り組んできました。違法なキックバックの調査は、ケースによっては当事者に気づかれないように調査や証拠保全を進めるなど、確実で迅速な対応がカギ。FRONTEOは豊富な知見とAIを含む高い技術力で調査をサポートします。
自社開発AIエンジンKIBITを活用して、ドキュメントレビューの際に大幅に省力化、コスト圧縮を実現するなど、案件対応の経験と自社AIエンジンを掛け合わせることで、他社にはできない高精度と効率化を実現しています。