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2023年8月16日情報漏洩やコンプライアンス問題、ハラスメント問題など、企業で不祥事が起きたとき、とりわけ世間を騒がす大規模な不祥事の場合は社内調査のみで解決するのは厳しく、企業自身の調査で社会的信用を得るのも困難です。迅速に公正な調査をし、原因究明や再発防止策を検討するために重要なのが「第三者委員会」。社会的信用を取り戻すため、中立な立場で的確に調査する第三者委員会についての基礎知識、第三者委員会の調査を支援するフォレンジック調査について解説します。
第三者委員会とは
第三者委員会とは、企業で不祥事などコンプライアンス違反が発生した際に原因究明のために調査をし、再発防止策を講じるために設置される組織で、経営陣など企業の内部組織から独立した専門家や関係者から構成されます。常設ではなく、企業で不祥事が生じた際に案件ごとに設置されます。企業が任意で設置するもので、「特別調査委員会」「独立調査委員会」などと呼ばれることもあり、いずれも法令による設置義務はありません。
第三者委員会を設置する目的は?
企業が不祥事を起こした際に、第三者委員会を設置せず企業主体で調査を進めることも可能です。しかし経営陣と社員のみによる調査実施では不十分な対応で終わるリスクが払拭できません。外部の専門家による客観的で公正な調査をすることによって、社会的信頼を回復するのが第三者委員会を設置する目的。企業と利害関係を持たない外部者のみで構成する第三者委員会に調査を委ねることにより、不祥事の再発防止に対する真摯な姿勢を世間に示すことができます。
社内調査との違いは?
社内調査を行う場合、担当取締役を決め、その指揮のもとで社員による社内調査チームを作って調査を行い、調査報告を取りまとめるというかたちが一般的です。企業から独立した専門家・関係者による第三者委員会とは異なり、内部の関係者が調査すれば、会社の実情もわかっていて素早く調査できますが、客観性や中立性には疑問が残るでしょう。
内部調査委員会との違いは?
企業の経営陣や監査部門を中心としながら、弁護士など外部の専門家も加えて組織するのが「内部調査委員会」。第三者委員会と比べると組織としての独立性や中立性に欠けるというデメリットがあります。特に企業トップの不祥事の場合や、解決に高度な専門性が求められる案件、社会的信頼の失墜が大きい場合などに関しては、証拠隠滅・隠蔽への疑念を防止するため、調査の客観性を担保する観点から、第三者委員会の設置が賢明といえるでしょう。
日弁連による第三者委員会ガイドラインの概要
第三者委員会の依頼者はあくまで企業であることから、完全な独立性を保つことが難しいという問題点があります。また過去に、第三者委員会の中には企業からの独立性や弁護士の習熟度が不十分で、かえって批判を招く調査結果となるケースもありました。こうした状況を受けて、日本弁護士連合会が2010年に定めたのが「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」。ガイドラインに沿って運営する義務はありませんが、現在は、この日弁連のガイドラインに準拠した形で、第三者委員会が設置されるケースが多くなっています。
※「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(関連リンク)
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/100715_2.pdf
報告書に関しても、その社会的信用性を高めるために「第三者委員会報告書格付け委員会」という組織が設立され、独立した立場で5段階評価して公表することで第三者委員会による報告書の信頼度の向上に役立っています。
第三者委員会の活動について
企業が起こした不祥事について事実関係を調査・分析し、報告書を提出するのが第三者委員会の役割。社内の文書の開示を求め、PCデータの調査、社員のヒアリングを行うなど、企業の協力のもとで原因究明につなげます。証拠の収集や分析を行い、事実関係を認定・評価したうえで、結果を企業に提出。再発防止策などの提言も行います。
第三者委員会の独立性・中立性について
調査を企業と独立した立場で行うため、中立性・独立性を確保した組織である第三者委員会の委員には企業と利害関係を持つ者は就任できません。調査結果が企業やその経営陣に不利な内容でも調査報告書に記載すること、報告書の提出より前にその内容を企業等に開示しないことも求められます。
企業等の協力について
第三者委員会が調査を進めるうえで欠かせないのが企業の協力。第三者委員会から協力や対応を求められた場合、企業は全面的に応じる必要があります。すべての社内情報や資料、社員に対してアクセスを可能にすること、社員には業務として調査へ協力することを命令し、必要があれば社内に事務局の設置も行います。協力を拒否した場合や妨害行為があった場合には、第三者委員会の報告書に記載されます。
選任委員と調査担当について
日弁連のガイドラインでは、第三者委員会のメンバーは3名以上が原則とされています。主な選任委員と調査担当は次のとおりです。
<主な選任委員>
・弁護士(顧問弁護士以外)
・公認会計士
・税理士
・学識経験者、ジャーナリスト
選任委員に弁護士が含まれる場合が多いのは、法律問題が関係することに加えて、業務上、対象者のヒアリングや証拠収集や事実認定などに長けているため。会計関連の不祥事の場合は公認会計士や税理士が委員となるのが通例です。その他、企業や案件によって専門分野の学者や研究機関の職員などが委員となります。
<調査担当>
・調査担当弁護士
・公認会計士
・デジタルフォレンジック調査の専門家
第三者委員会の委員という限られた人数で、多岐にわたる調査を網羅することは不可能なため、実際に調査を実施するのは第三者委員会から依頼を受けた調査担当者が請け負います。通常は、弁護士、公認会計士、デジタルフォレンジック調査の専門業者らが関与し、企業側の法務部門およびリスク管理部門の担当者と情報共有しながら調査を行います。
第三者委員会による不祥事の調査支援は「フォレンジック調査」で
フォレンジック調査とは、社内不正や情報漏洩などのインシデントが発生した際に行う鑑識調査のこと。第三者委員会による不祥事の調査には、フォレンジック調査の専門家の知見が不可欠です。フォレンジック調査の多くが、コンピューターなどの記憶媒体に保存されているデジタルデータから、法的証拠を調査・捜索、解析する「デジタルフォレンジック調査」になっています。
デジタルフォレンジック調査とは何か?
情報がデジタル化している昨今、第三者委員会による不祥事調査は、メールや通話履歴、PCなどに保存されたデジタルデータの解析が重要なポイント。こうしたデジタルデータを扱うフォレンジック調査のことを「デジタルフォレンジック調査」と呼びます。企業側に証拠隠滅や改ざんなどをされる前に、専門の調査会社によるスピーディーなデジタルフォレンジック調査が調査の鍵となります。
デジタルフォレンジック調査は専門の調査会社への相談がおすすめ
デジタルフォレンジック調査では、調査範囲をヒアリングした後、必要に応じて調査対象のデバイスを確保し、デジタルデータが誤って削除・破壊などされないよう適切に保全・収集したデータを専用の解析ツールを用いて分析し、不祥事の経緯や証拠などを明らかにして報告しますが、確実な調査にはノウハウが欠かせません。
ノウハウがない人が不適切な調査をするとデータの扱いを見誤り、正確な調査結果を得られないばかりか、データの上書きや破損など二次被害を招くリスクもあるので、デジタルフォレンジック調査は、確かな実績を持つ専門の調査会社へ相談するのが確実です。
高精度かつスピーディーに調査できるAI技術を持つ調査会社も
膨大なデジタルデータの収集・分析が伴うデジタルフォレンジック調査においては、人力だけでは限界がありますが、中には、AI(人工知能)技術を活用することで高速かつレベルの高い調査を可能にしている専門の調査会社もあります。
複雑で難解な工程のフォレンジック調査は、結果が出るまでに時間を要し、莫大な費用がかかるケースもあるので要注意。さまざまなパターンの案件を手掛けている経験豊富な調査会社であれば、自社の案件にマッチした細かな対応で解決に導ける可能性が高いでしょう。
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第三者委員会による不祥事調査の支援は、デジタルフォレンジック調査会社の「FRONTEO」に
第三者委員会による不祥事調査において、デジタルデータ調査の必要性が生じた際、調査依頼を検討したいのが、デジタルフォレンジック調査の圧倒的な実績を持つリーディングカンパニー「FRONTEO」。情報漏えい、データ改ざん、横領、労務問題ハラスメント問題、セキュリティ事案など、さまざまなタイプの案件調査の豊富な実績があります。手掛けたデジタルフォレンジックは2000件以上という確かな実績、長年培ってきたノウハウが幅広い企業や問題への対応力となっています。
FRONTEOでは、日々、自社開発のAIエンジンとそれを搭載したソフトウェアの開発が行われています。AIエンジン、ソフトウェアは自社開発なので、企業ごとに独自で構築されたシステムや特殊データに対しても柔軟にカスタマイズでき、企業ごと、案件ごとに最適な調査を実施できます。データの特定、保全・処理・レビュー・提出データ作成に至るまでワンストップで的確にアプローチします。
大きな不祥事で第三者委員会の設置やフォレンジック調査が遅れて証拠の隠蔽・隠滅につながると、世間の不信感が高まり企業は莫大な損害を被るリスクが増大します。速やかに第三者委員会を設置してフォレンジック調査を行い、世間に公表することが、社員を守りながら企業の信頼を回復できる最善策。フォレンジック調査で圧倒的な実績を持つFRONTEOなら、有事の際には迅速かつ適切にデータを取り扱うことが可能です。