ディスカバリ入門(2/7):ディスカバリベンター選定に欠かせない3つの質問
2020年2月27日ディスカバリ入門(4/7):日本企業が安心して利用できるベンダーを見極める13の質問
2020年2月28日ディスカバリ費用の見積は、「レビュー前作業」「レビュー作業」「翻訳作業」という3つの作業工程に分けて考えることができます。見積もり段階では、最終的にどれくらいの数のドキュメントをレビューしなければいけないか確定できないため、データの容量あたりの「単価」で見積もりが提示されることが多いのですが、ディスカバリ費用のコスト・コントロールを行う上では、この「単価」が要注意です。と言うのも、ベンダーによって算出費用の根拠にしているデータ量が異なるからです。
例えば、A社とB社という2つのベンダーから見積もりを取ったとします。
① A社の見積もり…単価は高いが、算出費用の根拠は「解凍前」のファイル
② B社の見積もり…単価は安いが、算出費用の根拠は「解凍後」のファイル
単純にB社の単価が安いからと言ってB社を選ぶのは早計でしょう。圧縮された解答前のデータを算出根拠としている場合、解凍後のファイルを算出根拠とする場合と比べて、単価は割高です。でも解凍前よりも解凍後の方がファイルの総数が多くなることがほとんどです。そのため、全体的な費用を見てみると、解凍後のファイルに単価を掛けている見積もりの方が高くなることがわかります。
①「高単価」×「解凍前のファイル」< ②「低単価」×「解凍後のファイル」
このトリックを知らずに単価だけでディスカバリベンダーを選んでしまうと、後で総額を見て驚くことになります。敢えて初回に安価な見積もりを出し、競合他社を締め出すB社の様なベンダーもいるのです。
単価が圧縮ファイル解凍前・後に掛けられている部分に注目
また、同様の例で、単価が安かったとしても「キーワード検索前」のデータ量で課金された、という例もあるので要注意です。
こういった例は枚挙にいとまがありません。見積もりを取る際には必ず、どの状態(工程)のデータにかかる費用なのかを確認するようにしておきましょう。
単価がキーワード検索前or後のどちらに掛けられているかに注目
見積もりで分かる「タダより高いものはない」
次に、単価が極端に安いベンダーは要注意です。なぜなら、作業品質が伴っておらず、追加の費用が発生する場合が多いからです。
よく言われるように、ディスカバリ費用の中で最も大きな割合を占めるのはレビュー費用となります。にもかかわらず、海外のベンダーには、レビュー費用を算出せずにレビュー実施前の作業のみの見積もりを出してくるベンダーがおり、しかも、その単価がタダ同然である場合があるのです。レビュー実施前作業の費用を低く抑えても、レビュー作業が含まれないため、結果として想定外のコストがかかってしまうことになります。
レビュー実施前の作業は非常に重要なものなのですが、単価を下げた結果作業品質も下がるということになれば、後のレビュー作業は複雑となってしまうでしょう。「プレディクティブ・コーディング」というハイテク技術によるレビュー作業については ディスカバリ入門(2/7):ディスカバリベンター選定に欠かせない3つの質問 で紹介しましたが、プレディクティブ・コーディングは、正確なレビュー前作業がなければ成り立ちません。
ちなみに独自に開発したプレディクティブ・コーディングを使用している会社では、他のベンダーがレビュー前作業を行った後、プレディクティブ・コーディングのみを請け負うというサービスはしていません。これは、他ベンダーの作業自体がそもそも信頼性に欠けているため、プレディクティブ・コーディングの精度が落ちてしまうからです。
Point単価が極端に安い場合は、その品質と作業範囲(レビュー作業が含まれているか)に注意。