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2023年8月7日組織内で起こる不正行為や疑わしい活動。これらの証拠を収集し、問題解決や処理を行う調査が「社内不正調査」です。ニュースになるような不正や不祥事は大企業の場合が多いですが、実際には中小企業でも社内不正やその調査が必要になる場面はあります。よくある社内不正の手口や事例、および社内不正調査を行う場合の注意点や対応方法について紹介します。
社内不正調査とは
賄賂や横領、資金の流出、機密情報やデータの漏洩、不正な取引や会計、コンプライアンス違反など、企業内で横行する不正行為や疑わしい活動にはさまざまな種類や手口があります。これらを特定し、適切に問題解決や処理することを目的として行われるのが「社内不正調査」。社内不正調査のきっかけは内部通報によるものもあり、その場合は情報提供者の保護についても慎重な取り扱いが必須です。情報提供者を徹底して保護しつつスピーディーかつ的確に問題解決をはかる「内部通報制度」の有効性についても認識が広がりつつあります。
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よくある社内不正の手口
社内不正の発生には複数の要因があり、人が不正を行う過程をモデル化したのが「不正のトライアングル」です。不正調査やリスク管理の分野で一般に用いられている考え方で、次の3つの要素が揃ったときに人間は不正行為に至る可能性が高まるとしています。
1.動機
負債を抱えているなど経済的な困窮状態である、ノルマを達成したいなどのプレッシャー や欲望があるなど、成し遂げたいこと(動機)があるときに社内不正への企みが生まれます。
2.機会
企業の重要情報に対する統制や監視システムの不備、チェック体制に隙があるなど、不正を働いても発覚しにくい環境があることで、社内不正に手を出しやすくなります。
3.正当化
「給料が低いぶんの埋め合わせだ」「借りるだけだから後で返せばいい」など自分に都合のいい理屈や説明で不正行為を正当化することで、倫理的な抵抗感をなくしてしまう心理作用です。
不正の手口でよく起こるものとしては、以下の例が挙げられます。
賄賂や横領、キックバックの受け取り
公務員や政府関係者、民間企業の役員などが不正に金銭を授受した場合は犯罪行為となります。社内の資金や資産を個人的な目的で使用する横領行為はもちろんのこと、取引相手などからの報酬や手数料を受け取るキックバックも状況によっては不正行為に当たります。
情報漏洩および流出
社内の重要情報を無断で持ち出して転売したり、取引の秘密情報を悪用して株式市場での取引を行ったり、競合他社に機密情報を提供するなど、情報漏洩・流出の内容は多岐にわたり、その形式はデジタルデータの場合も紙の資料の場合もあります。こうした不正行為によって会社は社会的信用を失うだけでなく、損害賠償などの大きな被害に直結します。
社内データの改ざん
財務データなどを改ざんして企業の業績や財務状況を隠蔽したり、報告書や文書を書き換えたり、文書や契約書の内容を改ざんして意図的に不利益な条件を隠蔽したり、勤怠状況を偽って申請したり、多くの事例があります。
社内不正調査を行う場合の注意点
社内不正調査を行う場合、進め方や通報社員の保護、再発防止策などを含めて考え、慎重かつ迅速に進める必要があります。注意すべきポイントと適切な対処法を解説します。
社内だけで調査を進めない
事を大きくしたくないなどの理由で社内だけで内密に進めるケースがありますが、お勧めできません。社内不正に関する専門知識がない社員による調査では、証拠となる情報を見逃すリスクや、証拠を隠蔽・破棄されてしまい復元できないこともあり、解決に導けない場合があります。
通報・報告してくれた社員を守る
企業側には、内部通報者を保護する義務があります。社内不正調査がはじまると「通報者探し」が起こる可能性がありますが、通報した社員が特定されたり噂になったりすることで、ハラスメント被害に発展しないよう細心の注意を払う必要があります。
不正調査は秘密裏に、スピーディーに行う
不正調査を行っていることが社内に周知されると、該当社員が証拠隠滅に走る可能性や、共犯者と口裏合わせをする可能性があります。必要以上の犯人探しが調査の妨げになり、社内の人間関係にも影響しかねません。可能な限り短期間で調査を進めることでスピーディーな解決が求められます。
不正の再発防止に努める
社内不正を完全になくすことは難しくても、早い段階で発見できるよう取り組むことで被害は最小限に抑えられます。不正防止のための規則やルールの徹底、監視ツールの導入、これらを社内に周知することが、風通しよくオープンな職場環境の実現とともに、不正の再発防止にも繋がります。
社内不正が起きた後の対応方法
実際に不正や不祥事が発覚した後、どのような対応が必要になるでしょうか。社員の処分や社内不正の調査方法、外部のベンダーに依頼して行う調査の内容や流れなどについて紹介します。
不正を行った社員に対する処分を行う
不正を行った社員は何らかの形で処分をしなければなりません。民事上の責任に加え、機密情報漏洩や窃盗・横領などは、不正を行った事実が確認されれば、該当者は刑事罰を受けることになります。法的責任に問われない場合には、労働基準法に基づいて就業規則に記載されているルールに則って懲戒解雇・降格・出勤停止・減給など、適切な処分を行います。
外部の調査会社に依頼して「フォレンジック調査」を行う
前出のとおり、社内不正問題の解決には専門知識が必要で、間違った対処によって事実の解明が困難になるリスクもあり、調査を社内だけで行うのはおすすめしません。信頼できる専門の調査会社に依頼し、「フォレンジック調査」を行うのが近道です。
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社内不正調査の事例
フォレンジック調査のリーディングカンパニーとして、これまで多くのインシデントと向き合ってきたFRONTEOが手掛けた調査案件の中から、社内不正調査に関する具体的な事例の一部をご紹介します。
退職者による機密情報持ち出しに関する情報漏洩調査
近日退職する社員が「営業機密情報を外部に持ち出している」という内部告発情報をきっかけに該当社員の調査の必要性が生じた案件。FRONTEOが該当社員の社内PCとスマーフォン内を調査したところ、業務範囲外の営業秘密情報の保有と、複数のデータが流出した可能性を確認。弁護士が本人に対しヒアリングを実施したところ事実を認めたため、関連情報の完全削除をFRONTEOが対応。情報漏洩の未然防止につながりました。
従業員による外注費のキックバックに関する不正調査
A社社員の素行が派手であると取引先であるB社から指摘を受け、社内で調査したところ、請求額と支払額に齟齬があることが発覚。FRONTEOは、該当社員に察知されることなく、A社とB社の取引に関わるやり取りの調査が必要と判断し、関連するデジタルデータを調査したところ、不正なキックバックを行っている人物の存在を確認しました。A社および顧問弁護士らによって事実関係について聴取が行われ、該当者と共犯者らは刑事告訴に至りました。
※その他の調査事例については「フォレンジック調査」ページの事例もご覧ください。
社内不正のフォレンジック調査はAIを活用した豊富な調査実績を誇る「FRONTEO」へ
社内不正調査の分野でも豊富な調査実績を誇るFRONTEOは、スピーディーにインシデントに対応し、解決に導く提案力・調査力が強みです。
昨今のフォレンジック調査は、膨大なデジタルデータを取り扱うため、AI(人工知能)の活用が不可欠ですが、FRONTEOでは自社開発のAIエンジンを駆使して大量のデータを迅速に処理します。さまざまなケースに対応できるよう自社開発ソフトウェアも導入し、迅速でコストパフォーマンスの高いフォレンジック調査を実現します。
圧倒的な件数から得た知見を活かし、難易度が高い調査への対応力も万全で、有事の際は迅速に対応。被害を最小限に抑え、再発防止に努めます。