トピック解説/コラム

ディスカバリ入門(5/7):ディスカバリのノウハウと同様に重要なディスカバリベンダーの技術力

ディスカバリ入門(1/7)(4/7)では、経験値やノウハウについての重要性をご説明してきましたが、もちろん、ノウハウのみならずツールやソフトウェアの機能が整備されていなければ元も子もありません。その元となる技術力はディスカバリの品質とコストを大きく左右するものです。ベンダーによって注力している分野が少しずつ異なるため、どのような技術に自信があるかを確認してみると良いでしょう。

例えばFRONTEOが行っているディスカバリ支援事業においては、作業時間の大幅な短縮を実現するために人工知能と行動情報科学の研究成果を応用し、レビュー工程を自動化する独自の技術「プレディクティブ・コーディング」を搭載したディスカバリソフトを自社開発しています。

FRONTEOのディスカバリソフトウェア製品

eディスカバリ支援システム「Lit i View E-DISCOVERY」(https://legal.fronteo.com/products/e-discovery/)

これまで、訴訟の相手や米国の当局に提出する「証拠」となる書類を選別する「レビュー」という作業は、人が目視で行うものとされてきました。300人以上のレビュアーが3年以上ひたすら文書の閲覧と選別を行ったという訴訟の例もあります。レビュアーの多くは弁護士やパラリーガルであり、その人件費が膨大になるのは必至です。

しかも人間は長時間作業をすると疲労がたまり、集中力が途切れます。レビュアーの能力によっても精度に差が生じるであろうことは察するに難くありません。

しかし、プレディクティブ・コーディングを使えば、その工程をコンピュータで行うことが可能です。しかも精度は90%以上。作業によっては、人間がレビューするスピードのおよそ4000倍の処理速度が出せます。これは、高度な知識を持った弁護士を4000人集めて作業をするのと同じ処理能力です。しかも人間と違って疲れることがなく、精度もスピードも落ちることがありません。

プレディクティブ・コーディングを用いれば、数週間かかっていたレビューがわずか数時間で完了し、コストも50%以上、場合によっては90%も削減できるでしょう。

訴訟を戦略的に進める上で、スピードやコストが重要な要素となることはこれまで述べてきたとおりです。仮に訴訟当事者の一方が人間の目視によるレビューを行い、もう一方がプレディクティブ・コーディングを用いたとしたら、前者はコスト・時間・労力といった全ての点で劣勢に回ることとなり、それが訴訟の結果に反映される可能性は少なくありません。

 


必要事項をヒアリングしてこないディスカバリベンダーを選んではいけない

質の高いディスカバリを手掛けるには、クライアントの情報も詳しく把握しておかなければなりません。

例えば、社内で使用している社内文書管理システム、アプリケーション、メーラー、暗号化技術など、主にITシステムについての情報を把握する必要があります。それらの情報を網羅してようやくディスカバリ支援の作業に取り掛かることができます。

優れたベンダーであれば、ヒアリングしておかなければならない情報を、あらかじめチェックシートなどにまとめています。

また、ベンダーがクライアントに投げかける質問やその姿勢からは、当該ベンダーのディスカバリ対応力だけでなく、プロジェクトに取り組む姿勢も窺い知ることができます。単にソフトやシステムを売りたい、導入してもらいたいだけなのか、あるいはディスカバリ作業を含め訴訟を一連の流れとして考え、全般的にサポートしてくれるのか、ベンダーからの質問を注意深く聞いて、そのあたりの違いを判断するとよいでしょう。


そのディスカバリベンダーはデジタル・フォレンジック技術を有しているか

不正や犯罪の捜査・調査で電子証拠が重要な役割を果たすようになってきた現代では、ハイレベルのデジタル・フォレンジック技術が要求されます。

デジタル・フォレンジックは「コンピュータ・フォレンジック」とも呼ばれ、単にコンピュータなどの電子記録を収集するだけではなく、それを分析して犯罪捜査や裁判時の立証につなげる技術を指します。元々はアメリカの捜査機関であるFBIやCIA、警察や軍で使用され、体系づけられた技術です。

電子データは簡単に削除、改ざんできてしまうため、担当者が誤ってサーバやパソコンからデータを削除してしまった場合、それらのデータを証拠として使える状態まで復元する必要があります。また、時には意図的な改ざんが加えられることもあるため、そういったデータの元データを復元したり、抽出したりする技術も求められます。

訴訟が起き、ディスカバリが始まると、アメリカの法律事務所から「フォレンジック・サウンド(Forensic Sound)な手法でデータを扱うように」との注文が入る場合がありますが、これは要するに「証拠としての品質の完全性を担保できるように最善を尽くしてください」という意味です。こういった要請に応えるためには、ディスカバリベンダーとしてのノウハウや専門知識が必要なのは当然のことながら、デジタル・フォレンジックの技術も必要となります。デジタル・フォレンジックの技術力のないベンダーは、想定外の事態に対応することができません。

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